渋谷・池袋・銀座・原宿。ポップアップの街はこんなに違う
同じ東京のポップアップでも、街が変わると、並んでいるものがずいぶん違います。
池袋を歩いていると、アニメやゲームのキャラクターが大きく描かれたポスターをよく見かけます。渋谷では、昨日まで何もなかった場所に海外ブランドのロゴが現れて、数日後にはもう別のイベントに変わっていたりする。表参道では化粧品を試している人の列ができ、銀座の百貨店では、期間限定のバッグやジュエリーがいつもの売り場に自然に溶け込んでいます。
全部「ポップアップ」です。
でも、同じものには見えません。
POPUPPOSTでは日々、首都圏で開かれるポップアップストアや期間限定イベントの情報を集めています。その掲載情報を眺めていると、少しずつ見えてきたことがあります。
ポップアップには、街の性格がかなり出る。
今回は、東京の中でも開催情報が多い「渋谷」「池袋」「銀座・日本橋」「原宿・表参道」の4エリアを見比べてみます。
これは「どの街が一番多いか」を決めるランキングではありません。開催場所や内容、扱われているジャンルを見ながら、POPUPPOST編集部が感じている街ごとの違いを整理したものです。
池袋は「好きなものに会いに行く街」
池袋の掲載情報を見ていて、まず目につくのがアニメ、漫画、ゲーム、VTuber、キャラクター関連です。
限定グッズ、描き下ろしイラスト、購入特典、コラボメニュー。そうした言葉が並ぶイベントが多く、アニメイト池袋本店や池袋PARCO、P'PARCO、サンシャインシティ周辺、各種コラボカフェなど、ファンにとって目的地になりやすい場所が点在しています。
池袋の面白いところは、「たまたま通りかかってポップアップを見る」というよりも、そのイベントを目当てに池袋へ行くケースが想像しやすいことです。
「この作品のグッズが欲しい」
「描き下ろしを見たい」
「コラボメニューを食べたい」
「推しの展示を撮りたい」
目的が最初からかなり具体的です。
そして一つのイベントを見に行った人が、近くの別のショップやカフェにも寄りやすい。池袋駅からサンシャインシティに向かって歩くだけでも、期間限定の売り場やコラボ企画にいくつも出会うことがあります。
だから池袋のポップアップは、「買い物」という言葉だけでは少し説明が足りません。
好きな作品やキャラクターの世界へ会いに行く場所。
そんな性格が、4つの街の中では最もはっきりしているように感じます。
渋谷は「今、何が来ているか」が一番混ざる街
渋谷は、ひと言で説明するのが難しい街です。
アニメのポップアップもある。ファッションもある。コスメもある。海外ブランドの日本初上陸もあれば、ゲーム、スポーツ、食品、音楽、体験型イベントまであります。
実際、POPUPPOSTの渋谷関連情報を見ても、渋谷PARCO、SHIBUYA109、MAGNET by SHIBUYA109、渋谷ヒカリエ、渋谷モディなどを舞台に、かなり異なるジャンルの企画が同時に動いています。
池袋が「好きなものに会いに行く街」だとすれば、渋谷はむしろ、
「今、世の中に出したいもの」が集まってくる街
なのかもしれません。
新しいブランド。
新しい商品。
新しいIP。
海外から日本へ入ってきたもの。
SNSで話題になっているもの。
まだ常設店を出すほどではないけれど、まずリアルの場で反応を見てみたいもの。
そうした「新しさ」とポップアップは相性がいい。そして渋谷には、その新しさを受け止める場所がいくつもあります。
おそらく渋谷でポップアップ巡りをする面白さは、好きなジャンルだけを見ることではありません。
ファッションを見に行った隣でゲームのイベントをやっていて、さらに少し歩くと美容ブランドの体験イベントがある。
ジャンル同士がごちゃっと混ざっていること自体が、渋谷らしさです。
原宿・表参道は「試して、撮って、体験する」
渋谷と原宿は近いので、ひとまとめにしたくなります。
実際に歩けば行き来できる距離です。
それでも掲載情報を見ていると、原宿・表参道には少し違う空気があります。
ファッション、コスメ、美容、ライフスタイル。そこに、カスタマイズ、フォトスポット、タッチ&トライ、インスタレーションといった「体験」が組み合わされるイベントが目立ちます。
つまり、商品を棚に並べて、
「期間限定で売っています」
だけでは終わらない。
触ってみる。
試してみる。
写真を撮る。
ブランドの世界観の中へ入ってみる。
場合によっては、その場で自分だけのものを作る。
原宿・表参道では、お店というより“小さな体験施設”に近いポップアップが似合います。
これは街を歩いている人との相性もありそうです。
もともと目的地を一つだけ決めて一直線に向かうというより、服を見たり、カフェへ寄ったり、写真を撮ったりしながら街を回る人が多いエリアです。
その途中に「何かやっている」と気づかせることができれば、中へ入ってもらえる。
そのため、外から見た瞬間に気になる装飾や、写真を撮りたくなる空間を作る意味も大きいのでしょう。
渋谷が「新しいものが集まる街」なら、
原宿・表参道は**「新しいものを体験させる街」**。
近い二つの街ですが、ポップアップを通して見ると、少し違って見えてきます。
銀座・日本橋は「期間限定」が売り場の中に溶け込む
銀座・日本橋へ移動すると、雰囲気はかなり変わります。
銀座三越、松屋銀座、日本橋三越、大丸東京など、百貨店や大型商業施設の売り場を使ったポップアップが目立ちます。
ファッション、バッグ、ジュエリー、食品、飲料など、扱われるものも比較的「買うもの」として完成されている商品が多い印象があります。
原宿ではポップアップそのものが目的地になるような空間を作ることがありますが、銀座では少し違います。
いつもの売り場を歩いていたら、普段はないブランドが来ている。
常設店はないけれど、この一週間だけ実物を見ることができる。
オンラインでは知っていた商品を、手に取って確かめられる。
そんな形です。
つまり銀座・日本橋では、ポップアップが街に飛び出してくるというより、
既存の上質な買い物体験の中へ、期間限定で入り込んでくる。
これが大きな特徴なのかもしれません。
同じ「期間限定」でも、原宿のように派手な空間を作らなくても成立する。
「今しかここにない商品」が売り場にあること自体に価値があります。
ポップアップという言葉から、若者向けのイベントやキャラクターショップを思い浮かべる人もいるかもしれません。
銀座・日本橋を見ていると、そのイメージがかなり広がります。
同じブランドでも、街が変わればポップアップも変わりそうだ
4つの街を並べてみると、ポップアップは単純に「空いている場所へ期間限定のお店を出すもの」ではないことが分かります。
ざっくり言えば、
池袋は「好き」に会う。
渋谷は「新しい」に会う。
原宿・表参道は「体験する」。
銀座・日本橋は「選んで買う」。
もちろん、実際のイベントがすべてこの分類に当てはまるわけではありません。
池袋でファッションイベントが開かれることもありますし、銀座でキャラクター企画が開かれることもあります。渋谷と原宿の境目に至っては、住所だけで簡単に分けられないイベントもあります。
それでも、日々の情報を並べていると、街によって「似合うポップアップ」が違うことは感じます。
もし同じブランドが4つの街すべてでポップアップをするとしたら、きっと同じ店にはならないでしょう。
池袋なら限定グッズを充実させる。
渋谷なら新作を大きく打ち出す。
原宿なら試せる仕掛けやフォトスポットを作る。
銀座なら商品そのものをじっくり見せる。
そんな違いが出てきても不思議ではありません。
ポップアップを見れば、その街の「今」が少し見える
ポップアップは、常設店よりずっと短命です。
数日で終わるものもあれば、数週間で姿を消すものもあります。
だからこそ、その時に企業やブランドが「ここで、これを見せたい」と考えているものが現れます。
池袋には今、どんな作品が集まっているのか。
渋谷にはどんな海外ブランドがやって来たのか。
原宿では何を「体験」させようとしているのか。
銀座では何を期間限定で売ろうとしているのか。
一つひとつを見ているとただのイベント情報ですが、街ごとに並べてみると、それぞれの場所で今何が動いているのかが少し見えてきます。
これまでPOPUPPOSTでは、「今日はどんなポップアップが開催されているか」を探しやすくすることを中心に情報を整理してきました。
でも、情報が増えてくると、それだけではありません。
たくさん集めたからこそ見えてくるものもあります。
「池袋って、本当にアニメ系が多いの?」
「渋谷と原宿は、実際には何が違う?」
「ポップアップが一番多い施設はどこ?」
「期間限定って、平均すると何日くらい?」
これからは、そんな疑問も少しずつ調べてみたいと思っています。
次にポップアップへ行くときは、イベントだけではなく、その街も少し見てみてください。
別の場所で開かれていたら、きっと全然違うポップアップになっていたかもしれません。